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「……えっ、何で?」
俺の気配に気付いて振り返ったアルマは心底驚いた顔をしてこっちを見ている。
「何で、いるんですか?」
拭っても拭ってももう片方の目から涙が溢れている様な状態だからしばらくは泣き止まないだろう。すっかり力の抜けた俺は、そのままうずくまるアルマの隣に座った。
「お前のお母さんがここじゃないかって。」
汚れを落とす要領で手巾で顔を拭うと、痛いと反論される。お構いなしにぬぐい続けたら手巾を奪われて、アルマは自分で濡れた顔を拭い始めた。
「ここ、お前が好きだった奴の家か。」
無言だった。おそらく正解だろう。
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