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ほとんど取れかけていた頭のスカーフを、顔が見えない様に結び直してやった。
土だらけだった足元もはらってやる。
たまに野犬も出る危険な山道なのに、こんな細脚で、女一人で無事に辿り着けたのは奇跡だ。
俺としては珍しいことだけど神に感謝した。
「失礼な態度取り続けてたら、あなたに嫌われて、家に帰されるかなと思ったんです。傷物だってわかれば、尚更。だから、みんなにわざとつっけんどんな態度取ってました。出戻りになって親に怒られて、父に疎まれても、家に帰って、あの人に、また、会いたかったの。ごめんなさい、ごめ、ん、でも、」
「あぁ、もう。だからええって。もう、家に帰るか。母さん達も心配しとる。」
「……ごべんな゛さい゛。」
「ええて。もう、無事なら何よりじゃけ。」
立ち上がって伸びをしたら腰を鳴らした。バキバキっと軽快な音が鳴ると次は首を鳴らす。1時間ほどとはいえ、慣れない馬に乗ってきたから体が岩みたいにカチカチだ。
「……文句の一つでも言って帰るか?」
アルマは少し考えて、強く首を横に振った。
「そうか。」
その気はないそうだ。
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