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「あとは、そうだなー。アジーが嫌いかやな。」
きつい冗談が俺の鼓膜を突き破る。気にすんなやと幼馴染達は言っていたが、俺はこんな見てくれだしその可能性が一番高い。
指はマムシに噛まれて腫れたのか?と思うくらいに太いし、髭もぼうぼうに生えてる。幸いにも背は平均より高いけど、体毛は濃くその辺に抜け毛がよく散らばっている。女が嫌がる男の代表例の様な男なのだ、俺は。
しかしそれは腑に落ちない。初夜以降も、向こうから誘いで寝る事が多いのだ。女は嘘をつくのが得意だと聞いたことはあるけど、十五の女がそこまで割り切れるものだろうか。
「でもあれやな、前にお前が読んでた、あれ、えっと、美人と三匹の狼少年!」
「……美女と野獣?」
三匹もいる狼少年がどう美人と絡むのかも気になるが、おそらく西の方の古い御伽噺を言いたいのだろう。確かに麓の貸本屋で借りてきた本の話をみんなの前でしたことがある。
「それそれ!どんな内容だったか忘れたけど、確か最後はくっつくんやろ?気楽に頑張ればええやん。」
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