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痴漢ジャンルのゲームに転生した男性
鏡を見た。
ピンク色のショートヘアー。
黒いスキューバダイビングのウェットスーツ。猫耳の生えたライダーヘルメットを腰の引っ掛けにつけている。
「これってナキじゃねえか!!! 俺がナキ?」
俺は暴飲暴食の限りを尽くした独身サラリーマンだったものだ。
単身で都心へと暮らし、親しい友人もおらず、週末の土日はエロゲー三昧、エロマンガ三昧、エロ小説三昧。
こよなく愛していた作品は「痴漢少女ナキ」という作品だ。
エロゲーというジャンルがスマートフォンのアプリへとPCソフトから拠点が移るあたりで一番売れた痴漢ものである。
大学生時代、俺は痴漢少女ナキにドハマリした。
「納得がいかんな……」
ナキはシリーズもので、日本中あらゆるところの路線に行くという乗り鉄の少女である。その行く先々で痴漢どもに襲われて死ぬ意味ではない方の逝かされる。ナキは変態ではないのだが、全ての路線を制覇したいという筋金入りの趣味人で、快楽を貪っていくことになる。
俺がいるのは、どこかの駅の女性トイレだ。
俺は先日、暴飲暴食がたたり、不摂生がたたり急死した。当然だ。そして転生したのが痴漢少女ナキである。
「俺がこういう変わった風体なのは、痴漢から自分を守るためだ」
俺がナキであるということは事実だ。
自分の胸を揉んでみる。Eカップだ。
俺は猫耳ライダーヘルメットをかぶり、駅のホームを目指す。
ここは日本のどこかにある主要都市の路線だ。
適当に電車を待っていると、電車が来たので乗車する。
「お決まりの流れを理解していて乗車するっていうことは俺ってマゾなんだな……」
電車内の座席を埋め尽くす乗客。立ってつり革を持っている乗客。立ったまま周囲の客に重心を預けている乗客。
全周囲から奇異の視線が自分に集中する。
「そりゃそうだ。俺の格好そのものが普通ではない」
独白もしているからさらに奇妙さが増す。
電車が発車する。
車窓から見える街並みは主要都市とはいえ、大阪や名古屋とかそこそこ総人口を誇る大都心であることは間違いない。
「俺のセカンドライフはここからスタートか……」
しかし、暴飲暴食がたたって短命で終わった生前の俺。どうせならば、健康を考えた生活を送れば良かったなと後悔をしている。
何故、俺が痴漢少女ナキなのか自問自答する。
車窓から都市の景観を見ながら黄昏れていると、尻に変な違和感を覚える。
撫ぜられている。
「あんたが電車の中で現れるという痴女さんなんですな♪」
「え( ゚Д゚)……」
俺は知っている。
痴漢しても警察に突き出さず、受け入れてくれる女学生がいるという噂がネットに流れている。それが痴漢少女ナキの設定だ。
ナキはシリーズの1作目であらゆる痴漢の魔の手に落ちるが、けして警察に通報しようとはしなかった。それは全国路線を乗り鉄として制覇するための野望があるからだ。ナキの名と隠し撮りされた写真は、全国各地にいる痴漢ども独自の秘密のネットワークを介して流れている。
「私はあなたを引き当てた♪ 運がいいということですね♪」
「そうだな(´;ω;`)……。 おっさん。運がいいな……」
俺は抗弁するつもりはない。ナキに転生する事自体、俺がナキとしての宿命を追体験したいからだ。
尻をしつこく愛撫してくる中年男性は、もう片手で俺の胸を揉む。
「スキューバダイビングのウェットスーツ……。痴女のナキさん。私達を誘っているのですか?」
「あくまでこれは護身用さ(;´・ω・) おっさん……けっこう力強く揉むな……」
乳房を刺激しようとする。そのくすぐったさが俺の脳内を少し揺らす。
「気持ちいいですか? ナキさん? 漏れてきましたか?」
「全然だな('ω')ノ おっさんのテクニックって低レベルだな……」
正直な感想を口にした。
「な!!!」
中年男性は尻と俺の胸への接触に集中力をそそぐ。
「ナキさん。強がらなくてもいいんですよ? 好きなんでしょ? こんなに揉まれて、こんな撫ぜ回されて? どうなんです?」
中年男性から痴漢行為を受けて10分が経過した。
胸をどれだけ揉まれようが、尻をどんだけ触られようが、新鮮味っていうのは何も感じなかった。
男はウェットスーツ越しに俺の秘部を刺激してきた。
「ふう('Д')!!!」
「どうです? 気持ちよかったでしょ?」
「確かにここはな。良かったよ」
「ならばどうです? 次の駅へ降りてホテルへと直行しませんか? もっと快楽に……」
「電車で俺を逝かせるレベルじゃないってことはあんたはザコだな(*´ω`)」
俺は余裕の笑みを見せて中年男性を嘲笑う。
「な!!! 私をザコ扱い!!! 私は!!!」
顔を赤面し、地団駄を踏む中年男性。未成年の俺から嘲笑を受けたのがそんなに憤慨するには充分だったのだろう。
その時だった。あるスーツ姿の女性が中年男性に話しかけてくる。
「見てましたよ!! あなた、その子が無抵抗を口実に痴漢していたでしょ?」
「な!! いや、これは……」
「お姉ぇさん。いいんですよ。この人、俺の身体を触りながら死んだ奥さんの名前ばかりを呼んでいたんで、俺が死んだ奥さんに似ていたんでしょ? 私は気にしていないので(;^ω^)」
助けようとした女性も俺の一言に驚いた。
電車が次の駅で停まる。
さすがにこの車内の空気が悪くなったので、俺は下車することにした。
俺のあとを痴漢してきた中年男性は追跡しようとする。その時、迷彩服を着た男性がその中年男性をとめる。
「あ!!! 許してください!!!」
「電車内でナキを逝かせることができなかった。これ以上、あの子に近づくなら貴様を掃除する」
中年男性は迷彩服の男に捕縛されてどこかへと連れていかれる。中年男性はある規則に抵触したためにこの社会から消されるのだ。2度と出てくることはない。
俺はある犯罪組織と痴漢というゲームを通じて競っている。名は<鉄道酒池肉林>。
なんと彼らは日本の警察から検挙されることがないのだ。
歴史は長く。
明治維新から誕生した。
電車の中で女性を昇天させて側室もしくは嫁として従えている。痴漢された女性、女子はその組織なくしては生きていけなくなった快楽主義者となる。彼女たちは自分たちの稼ぎを組織へと献上する。そしてその組織は日本の政治の中枢へと根付いていた。
彼らを味方つけた政党は多くの票を獲得する。
<鉄道酒池肉林>に入会できるのは、女性をわが物できるほどのテクニックを持った者のみ。入会を希望する男性は組織が定めたゲームルールにのっとり、痴漢行為をする。しかし、電車の中でないといけない。
逸脱した中年男性は、今、組織によって粛清を受けたのだ。
俺は駅の構内にある立ち食いソバ屋で昼食をとることにした。
俺の所持しているあるクレジットカードは、日本国内のあらゆる鉄道会社では使用できる特別製だ。ナキはこう見えて全ての鉄道会社の株を保有する大株主である。
不労所得で儲けているのだ。
ソバをすすりながら俺は思う。
「<鉄道酒池肉林>は、俺を隷属させたいんだろうな……。鉄道内ならば俺のこのカードで贅沢三昧なんだもん」
立ち食いソバを食べ終われ、精算はカードで済ます。
駅の何番ホームかに行くと、どこかへと行く電車が到着した。それに俺は乗る。
車窓から再び市街の景観を眺める。乗車してから数分後、俺の前に腕を組んだ海パン一丁の巨漢が現れた。
巨漢はいきなり俺の唇を奪う。
「(*´Д`)ん!!!!」
「さっきの駅で騒いでいるおっさんがいてな。お前さんの名前を呼んでいたな♪ 痴女のナキちゃん? 女生徒なんだろ?」
巨漢の舌使いが妖艶だ。俺は思わず感じてしまった。本心から。
「食う思考で女を襲っちゃだめだよな♪ それは素人の発想さ♪ 労わりがないとな♪」
巨漢は巨大な両手で俺の両胸を揉み出した。
胸を圧し潰すような怖さを感じたが異なった。指使いが優しく気遣っている。それでこそ感じてしまう。
「嘘だ……いいじゃん……(;^ω^)――ああ!!(*´Д`)ハァハァ」
「俺はこの路線の界隈で10人近くのセフレがいるぜ♪」
<鉄道酒池肉林>で生計を立てている者だ。奴らは無職だ。女の稼ぎで生きている。彼女たちは文字通り、電車内で快楽に堕ちたのだ。
「なぁ? 俺の女になれよ♪ 気持ちよくしてあげられるぜ♪ この路線のある駅には<鉄道酒池肉林>の仮眠室があるからよ。そこでもっともっと気持ちよくしてやるぜ♪」
「俺の大株主カードを使ってだろ?(ToT)/ あああ!!!(*´Д`)ハァハァ」
巨漢は俺のウェットスーツの背中のファスナーをおろす。俺のスキューバダイビングのウェットスーツが剥かれてしまう。
白いビキニ姿となってしまう。露わになった肌。巨漢は俺の胸を鷲掴む。
「当然だ♪ お前が今まで堕ちたことか数回あるらしいな♪ しかし長続きはしなかった♪ 俺様ならばお前を一生後悔のない快楽の世界へと連れていってやるよ♪」
「お、俺がお前……なんかに……(ToT) ……負けるはず……ああ!!(*´Д`)ハァハァ」
この巨漢の手つきは本当に優しい。マッサージというのが全て痛ければ女が堕ちるわけがない。<鉄道酒池肉林>の手練れは無職で食べていけるのはこれにテクニックがあるのだ。
「東京、大阪、名古屋、札幌とよ。お前のその大株主のカードで豪遊した奴は、幸せだったと言っていたな……。どうでい? 俺の優しさは?」
「ああああ♪ 最高に決まってるじゃないか!! おっぱいが……おっぱいがお前の手つきで飼いならされちゃうじゃないか……(ノД`)・゜・。」
危ない。
この巨漢は強敵だ。こいつの攻めで俺は負けてはいけない。俺は受ける方だが、攻めることだってできるんだ。
俺はしゃがみこみ、巨漢の海パンをおろす。
「お? 本番かよ? 早いじゃねえか!!」
「俺をナメんじゃねぇえええ(ToT)/~~~」
俺は銜える。巨漢の竹刀を。舌は竹刀の表面を這っていく。
「うご!!! こ、こいつは一体!!」
「んごんご、んごんご(´;ω;`)(俺の舌は超特急だぜ!!)」
竹刀は俺の舌攻撃により、脈打った。だんだん膨張していく。
巨漢は負けじと俺の白い水着をはいたお尻を愛撫し、秘部を刺激する。
「ん(*´Д`)ハァハァ!!!」
「おほ♪ お前……やるじゃないか? 本当に女生徒か? さすがは痴女のナキちゃんだな~~」
俺は空いた両手で巨漢の乳首をつまむ。そしてくすぐる。
「んごだ(どうだ!!)(ノД`)・゜・。」
「おほん!!!」
しかし巨漢は俺の秘部に指先を入れる。
「んん!!!(あああ♪)(*´Д`)ハァハァ」
「さすがは痴女のナキ♪ 俺との痴漢勝負♪ ただただ、蹂躙されているわけじゃないようだな……理解したよ……。この組織でどの上位ランカーがお前を妾として起用できていないのはお前も格闘家ってこったな♪」
巨漢の優しさは俺の秘部から白い体液をいっぱい漏らさせる。
「んごん!!!(負けるか(ToT)/!!!)」
俺は舌の力に全精力を注ぎこむ。男の指使いは俺の秘部を快楽を以て蝕んでいく。俺はこの巨漢の肌の中へ一生埋もれてもいいかなと思ってしまう。
だが、勝機は見えた。
俺は奴の竹刀から口を離す。そして自分の顔にかからないように躱す。
巨漢の竹刀の先端の穴からは大量の白い液体が噴射される。
「うごおおおおおおおお!!!!」
巨漢は昇天した。
巨漢の手つきが止む。
俺は巨漢との距離をとり、自分の脈打つ秘部を刺激して自慰をしだす。俺の秘部からも白い液体が大量に出る。
「俺の勝ちだ!!(*´Д`)ハァハァ」
「あああああ!!! 俺様が負けるとは……そんなバカな……」
「これでお前に付き従う女たちは、お前との契約は切れる!!! 例え彼女たちがそれを望んでいなくてもな!!!」
「畜生!!!! またゼロから出直しかよ!!!!」
犯罪組織<鉄道酒池肉林>において構成員である男性が痴漢勝負で女性に敗北すると、妾として保有していた女性たちは強制的に別の会員男性の妾となるか、追放されるかである。
<鉄道酒池肉林>の魔の手に堕ちた女性陣が彼らの手つきなしに実社会で生きていけることは中々少ない。
電車はどこかの駅に停車した。
俺はウェットスートと猫耳のライダーヘルメットを持って電車から下車する。
駅のホームの看板に「仮眠室有り」と書かれているのを発見。今日はこの駅で泊まることにした。
俺との痴漢勝負で負けた巨漢は海パンを履いて泣きながら下車し、改札口へと姿を消した。
白いビキニ姿の俺もやはり駅構内の乗客たちに奇異の視線で見られる。とにかく駆け足で仮眠室を目指す。
仮眠室は駅務室の隣にある。
受付カウンターの駅員に大株主のクレジットカードを見せる。
「ナキ様ですね。無料で当駅の仮眠室をお使いください」
俺は仮眠室の1室へと案内される。入浴室がある部屋だった。そこで身体を洗い流し、ビキニとウェットスーツを部屋内にある洗濯機と乾燥機で綺麗にする。
ウェットスーツを着て猫耳ヘルメットをかぶると、この駅構内にある飲食店で夕飯をとる。
とにかく明日は別の路線へ向かう電車へ乗ることを決めた。
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