第四章 東の最果て

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 国家を名乗るには人口が少ない分、一人一人が知的水準や技術力を高め、この厳しい環境でも国家の体を維持してきた事から、亜人達は腕力や魔力だけでなく、学力や技術もまた力を示すのに同等の価値基準を持つとして認識されてきている。  それは、スクヴィラにとって新たな思考の始まりでもあった。 「波風を立たせる事や過度な競争を嫌う昼行燈の様な貴様が、エリート専門の教育を目指すとは………一体どういう風の吹き回しだ? 何が貴様をそう駆り立てた」  平等と公平を誰よりも口ずさむ男が、敢えて階級社会に陥る可能性がある施設を率先して作ろうとしている。どちらかといえば、自分や大魔王の発想に近い構想だと感じたスクヴィラは、彼の話に自然と興味を持ち始めた。  相田は周囲にいた亜人達に休憩を命じ、人払いを済ませる。彼女の代わりとして、彼の身辺を世話してきた白いバステト族のメイドですら、相田の手の合図で一礼し、その場から離れていく。  相田とスクヴィラ、2人の魔王だけがその場に残された。 「スクヴィラ………俺は、コルティとケリケラを救いに行くよ」 「何を今更。貴様の性格からすれば、別段驚く程の事でもなかろう」  それは初めての言葉ではない。彼女達の救出に関する話題は彼の口から何度も聞かされている。  あの戦いで帰らなかった2人は、死んだ訳ではない。それは、帰還した大魔王から聞かされている初期の情報であり、その後の情報で十分な裏も取れている。むしろ彼の性格からして、あの時、いやこれまでも単身一人で向かおうとしなかった方が、彼女にとって何倍も不思議だった。
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