第二章 親子共闘

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「スクヴィラ! くそっ、ここまで来て!」  操糸術で黒い刃を持つ相田の腕を絡め取ろうと試みたキエフだったが、指先を動かした瞬間、手首から先で痙攣が始まった。  ついに限界に達する。痙攣した指はキエフの意識から離れ、満足に拳を握る事すら困難になっていた。 「まだだ、まだやらせはしない! スクヴィラぁっ!」  血に染まった自分の指を睨み付け、それでもと相田へと走り込むキエフ。  足元の影に血を垂らす相田もまた、かなりの体力を奪われていた。失血により、剣を振り下ろすまでに数秒を要する間に、彼はキエフの接近を許していた。  そこに相田の頬が吊り上がる。 「い、いかん! 罠だっ」  スクヴィラが気付くと同時に、相田が背後へと瞬時に振り返った。既に魔力が枯れた人形よりも、未だに糸を操れる可能性のある者を排除すべきだと、最後の最後まで、相田は優先順位の思考を途絶えさせていなかった。
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