第四章 東の最果て

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「それで? そこで貴様は何をしている。あぁ、工事をしているなどと、見れば分かるようなつまらない答えは求めていないからな」  スクヴィラは口を開けかけた相田の時を止めさせる。  改めて咳払いする相田。 「………新しい街を作っている」 「街だと?」  基礎工事も終わっていない地面を下に相田がゆっくりと見上げるが、スクヴィラは首を傾け、鼻で笑った。 「何を馬鹿な事を。ようやく増えた人口に合わせて、島外に街を作ったばかりだぞ? それに中央の島にもまだ土地が残っておる。経済や物資の量や動き、民の数から見ても、ここに新たな民が住み着くとは思えんな」  スクヴィラがこの国に住み着いて、数十年。ようやく人口が5万人に達し、島だけでなく、島外にある南部に街を作ったばかりであった。国力と人口の増加関係を見ても、あと数十年は新規開拓の必要がないはずであった。  だが、相田は首を振り、島に住む住民達を行く行くは外縁部にある街へと移住させると語る。そして、人の減った島の中央の施設を再利用し、学校を作ると締めくくった。 「この国で最も優秀な者達だけが通う事が出来る専門学校を作り、国力を高めていく必要がある」 「………ほぉ」  思いがけない言葉にスクヴィラが腕を組み、素直に驚いた。  相田の知識に基づき、この国では全ての子どもが一定の年齢に達すると、国から等しく教育を受けることができる制度を作っていた。さらに、教育施設は年齢や学力に応じて複数運営されており、子ども達は成人に達するまでの間に、必要最低限の知識と技能を身に付けることが出来るようになっていた。
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