白い獲物

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 依頼主から聞いた情報をスルメが入っていたポケットからメモ帳を取り出して全てメモした。メモ帳にスルメの匂いが染み込んでいたが、匂いが好きで、それを望んでいた。  競合する相手あるいは集団がいないかどうかも訊ねる。業界内での派閥争いに辟易としていたからだ。  資料を読み、少し考えてから、声を出した。 「わかった。引き受ける。明日まで待て」 「引き受けて頂いて、ありがとうございます」  俺が身を翻すと背後で依頼主が、ありがとうございますと再度言っているのが聞こえた。  数時間後、俺は準備を始めた。指定された時間までまだあるが、入念な準備こそ、獲物を仕留めるために、肝要だと長年の経験から学んでいる。  俺は久しぶりの仕事で少し緊張していたが、同時に獲物との勝負に興奮していた。  出現時間になり依頼主が指定した獲物を仕留めるためにボートを出す。  一般的に依頼主が指定した獲物は貴重で簡単に釣れるものではない。だが、俺の経験則から逃げられる魚は存在しないと自負している。  非合法ではなく、真面目で誠実を信条にしているため、全て正規ルートを踏んだ上で釣り上げた。あっさり釣って、依頼主に渡す。
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