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自由を手に入れた私は、今まで出来なかった事をやり直すかのように羽を伸ばし始めた。その状況に浮足立ち、初めて見る世界に戸惑いながら足を踏み入れて行った。
「橋本さん、最近、明るくなったよね。ねえ、今度、少人数の合コンやるんだけど、一緒にいかない?」
私に声を掛けて来た同僚の高輪さんは、私と違って明るく友人も多そうなタイプの人。そんな人に声を掛けてもらった事に驚きつつ嬉しくもあった。
「えっ⁉ 合コン? 行ったこと無いけど大丈夫でしょうか?」
「大丈夫、ご飯食べながらお話するだけだし、ねっ、いいでしょ? 初めてでも大丈夫だよ」
じゃあ、それならと、高輪さんに誘われ、合コンに参加することになった。
母が居た頃の私なら、声も掛からなかっただろう。例え、声を掛けてもらったとしても母の目を気にして断っていたはずだ。
母の目が、なくなった事によって、私は自由になったんだ。
その日のために新しい服を買うのも楽しかった。
好きな服を買っても私を威圧するじっとりとした目で見られない。
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