30人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごほごほっ…」
「何をしているんだ!死ぬとこだったんだぞ!」
「…死んでも…いいと思ったから……飛び込んだんだ。」
「悪いけど監禁させてもらうよ。何度も飛び込まれたら迷惑だからね。」
「それを言うならこっちの台詞だよ。勝手に連れてこられて、『迷惑』だなんてよく言うな。」
その日1度も部屋の外には出してもらえなかった。
着くまでずっと監禁されるとかないよね。私を誘拐して島をのっとる作戦…とかなら解るんだけど、別にそれなら船で交渉だって出来るのに。
「やることがなくて死にそう。」
そう言ったのを誰かが聞いていたのかもしれない。
「俺は何をしてるんでしょうか?」
「友として夕食を共にしているんだよ。」
「そうですか…」
出てきた料理は見た事の無いものばかりだわ。しかも、この道具は何?…鉄?の棒みたいなの。
見よう見まねでやってみるけど、出来ないわ。この棒みたいなのを二本持って挟んでみようかな…。
…面倒だわ。もう手で掴んで食べる。豪快な男の子という印象を与えればいいのよ。
私は大きな肉の塊を手で掴んで食べた。
口のまわりがベトベトだし、服も汚れちゃったけど、そのうち乾くし雨が降れば洗えるよね。
「…配慮がたりなかったね。島では箸しか使わないのに。」
「いえ、これでも食べれますので。」
配慮とかいう言葉が存在している事に驚くわ。人を誘拐しておいて。私だから言葉をかわせるけど島民には無理だし、やっぱり私が拐われたことは不幸中の幸いなのかも。
誰にもこんな風になって欲しくはない。行きつく先は地獄なのだとしたらね。
最初のコメントを投稿しよう!