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同じ部屋
部屋は何故同じなの…?
嫁入り前の娘がこんなの大問題よ!!
「部屋がないから仕方がない。」
「お友達を招待するのであれば、それくらいの準備をしてもらえると思いましたが」
「ここが一番安全な部屋だから、我慢してほしい。」
そう言う事ではないのよ。私は着替えができないじゃない。布団の乗った箱の上に寝転んでるけど、その箱の中は空洞だったりするの?それならそこで着替えるけれど。
「あの…、俺の着替えは…」
「クローゼットにある。」
「くろーぜっと?」
「…そこを開けて。」
「…?はい…」
言われた通りに開けてみた。
ガチャ
「……」
「どれでも好きな物を着るといい。」
「女の子の服ではないですか?」
「そうだよ。」
「いや、そうだよ…じゃなくてですね!俺に女装をしろと?」
「十分似合いそうだ。」
「……」
そうでないと傷つくわ。女だもの。
「この服を着る予定だったのは女性ですよね?本当は俺じゃなく、嫁でも誘拐するつもりだったのですか?」
私の男装がバレてるの?でも、私は顔を見られた事はないわ。密偵でもいたって事なの?
「好きな女を連れてかえるつもりだった。」
「……へ?」
「何だ、その反応は。」
「だったら尚更…男の俺を連れて帰るのはおかしいのでは…?」
「そうかもしれないが、俺が口付けしたのは君だから、仕方がないね。」
「…何が?」
仕方がないって、自分でしたんだよ?誰かにさせられて、仕方なく私を連れて帰るならわかるけどさ…。
「口づけした相手と結婚するとか、そんな仕来たりでも…ないですよね。さっきの説明だと…」
「『死ぬほど憎い』と『死ぬほど愛しい』か。同じようなものだよ。」
「真逆だと思いますが…」
「…狂おしいほど愛しい人が、自分ではない誰かを愛する…。愛情は憎しみに変わる。」
「…物凄く自分勝手な愛情ですね。」
「普通の人はそうはならない。父親の血を引き継いでいるものだけが、必ずそうなる。口付けする相手も自分では決められない。」
そんな呪いみたいな…。
「…でも、俺を連れていかなければそんな事にはならないのでは無いでしょうか?」
「そう。俺も連れていきたくはないけど、殺すまで追いかけたくはないから。」
そこまでっ!?
「けど、好いた女性がいるって…。」
「会う事も叶わないし、連れて帰れるとも思っていなかった。」
「…なら、この服は?」
「奇跡でも起こればと思ったんだ。」
奇跡…
「そして、起こったよ。」
「…?」
「ナル・ニニハハ」
「っ!?」
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