同じ部屋

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「ぅわわっ!!」 なにっ!?急に船が…っ! 転びそうな所を受け止めてくれたけれど、船の揺れは止まらないし、2人揃って転んでしまった。けれど、レギラが下になってくれたから、私はそれほど痛くなかった。 「まだ起きない方がいい。簡単に揺れはなくならない。」 気付けばものすごい勢いで雨が降っている。ついさっきまで晴れていたのに…。 「…もしかして転覆するの?」 「大丈夫だと思うけど…。」 「思うだけなの!?」 「…君が落ち着けば何とかなるよ。」 「何ともならないわよ!」 「君は雨乞いの神子だろ?」 「まさか、それで雨が降ったり止んだりする理由だとでも思ってるのっ?」 「違うのか…?島の神子は雨を司ると、どの国でも言われているぞ。」 「どこ発信の情報なの!こんな雨、ただの偶然よ。」 「……」 期待はずれ…みたいな顔をしてるし。 「…まさか、私を連れてきた理由って、雨を降らせてほしいから…とか言わないよね。」 「好きな女だからだと言ってるのに、なぜ信じないのか…」 「絶対にありえない!…っさっさと離れなさいよ!」 「君が上にのってるんだけど。……まぁ離れなくていいよ、ナルは柔らかくて気持ちいいし。」 「…っ何を言ってるのよ!」 「事実を言ったまでだけど。」 「柔らかくなんてないわ!くっつかないで!っわ!!」 どうしよう!さっきの比じゃないくらい、物凄く船がゆれだした! 「っこのままじゃ本当に沈むな…」 無理やり連れてこられて、海で溺れて死ぬなんて嫌よ! 奉納の舞い、その時に『天に感謝』の意を込めて舞うのが『雨と晴』なの!私は神楽で舞うだけの神子なのよ!本当に雨乞いなんて出来るわけないのに…! 「ナル、大丈夫。ここでいい子にしてるんだよ。」 「え……?」 私に言ってから、レギラは外へ出ていった。部屋の中にも海水が入ってくる。きっと船内は水がたまって溺れる人だって出てきてしまうわ… 『ムカミが落ちだぞーっ!!』 『うわぁああ!!』 今まで自分の事で精一杯だったけど、外では頑張って船を沈まないようにしてる人がいる…。 雨乞い…本当か嘘か知らないわ。 雲を散らす晴れの舞いもある。 舞えないけれど、心で祈ってみた。 『天よ、涙は必要ない。私が貴女の代わりに泣こう。』 誘拐されて、本当に泣きたいし、いつでも代行するわ!!
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