刻印

1/3
前へ
/38ページ
次へ

刻印

特に何もならない! 結局、私は舞うだけでそんな力はないのよ! ゴロゴロ転がって、体がいたいし寒いわ。踏んだり蹴ったりとはこの事よ!!もう疲れたし眠いし暫くその場に寝転がった。 「……ぅ…ん」 「ナル!よかった、目が覚めた…」 ん?目が覚める……? 「一体何が…」 起きようとして気がついた。 私、何も着てない! 「最低っ!私が寝ている間に何をしたの!」 「何もしてない。ナルの服が濡れて、そのままでは風邪ひくから、悪いとは思ったけど脱がせた。」 「…濡れる。そうだ、嵐が来て私は疲れて寝てたんだわ。」 「……寝てた?気を失ってた訳じゃなくて?」 「ええ、何だか眠いから転がってたの。…ごめんなさい。私、変な勘違いを…」 寝ている間に襲われたとか、さすがにそこまでしないよね…恥ずかしい勘違いをしてた…。 「嵐はさったの?」 「ああ、さっきね。」 「そう…」 きっと海に投げ出された人は沢山いるはず。 「何故そんな悲しい顔をする?生きていられたのに。」 「…私が雨天晴天の神子でも、何も出来はしないのね。それにもし本当に雨をよんだのが私なら、人殺しじゃない。」 「…ナルは関係ないよ」 「貴方が言ったのよ。私が怒ると海が荒れるって。それはその通りになったの。」 「俺が部屋を出て少しすると、嵐はさったんだ。君のおかげだと思うよ。」 「偶然よ。」 「…そう、ではないと思う。」 「何故?」 「胸にある刻印が、薄くなった気がする…。」 私は胸にある印を見てみた。 「…変わったようには思えないわ。…って、そんなにしっかり私の体を見たのっ!?」 「大丈夫。俺1人だから。」 それは全くとして大丈夫ではないけれど…。助けてくれたんだから、文句は言えないか…。 「もしナルの肌に誰か触れてるようなら、この船に人はいないよ。」 「……」 笑顔で何をいってるの…この人は…。 子供の時につけられる焼き印。その儀式で死ねば神子じゃない…そんな恐ろしいものなのよね。 薄くなる… 消えると死ぬと言われているわ…。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加