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刻印
特に何もならない!
結局、私は舞うだけでそんな力はないのよ!
ゴロゴロ転がって、体がいたいし寒いわ。踏んだり蹴ったりとはこの事よ!!もう疲れたし眠いし暫くその場に寝転がった。
「……ぅ…ん」
「ナル!よかった、目が覚めた…」
ん?目が覚める……?
「一体何が…」
起きようとして気がついた。
私、何も着てない!
「最低っ!私が寝ている間に何をしたの!」
「何もしてない。ナルの服が濡れて、そのままでは風邪ひくから、悪いとは思ったけど脱がせた。」
「…濡れる。そうだ、嵐が来て私は疲れて寝てたんだわ。」
「……寝てた?気を失ってた訳じゃなくて?」
「ええ、何だか眠いから転がってたの。…ごめんなさい。私、変な勘違いを…」
寝ている間に襲われたとか、さすがにそこまでしないよね…恥ずかしい勘違いをしてた…。
「嵐はさったの?」
「ああ、さっきね。」
「そう…」
きっと海に投げ出された人は沢山いるはず。
「何故そんな悲しい顔をする?生きていられたのに。」
「…私が雨天晴天の神子でも、何も出来はしないのね。それにもし本当に雨をよんだのが私なら、人殺しじゃない。」
「…ナルは関係ないよ」
「貴方が言ったのよ。私が怒ると海が荒れるって。それはその通りになったの。」
「俺が部屋を出て少しすると、嵐はさったんだ。君のおかげだと思うよ。」
「偶然よ。」
「…そう、ではないと思う。」
「何故?」
「胸にある刻印が、薄くなった気がする…。」
私は胸にある印を見てみた。
「…変わったようには思えないわ。…って、そんなにしっかり私の体を見たのっ!?」
「大丈夫。俺1人だから。」
それは全くとして大丈夫ではないけれど…。助けてくれたんだから、文句は言えないか…。
「もしナルの肌に誰か触れてるようなら、この船に人はいないよ。」
「……」
笑顔で何をいってるの…この人は…。
子供の時につけられる焼き印。その儀式で死ねば神子じゃない…そんな恐ろしいものなのよね。
薄くなる…
消えると死ぬと言われているわ…。
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