敵国の王太子

1/1
前へ
/38ページ
次へ

敵国の王太子

『ナル・ニニハハを3日以内に殺す』 そんな脅迫状が届いたのは今日の朝。 男装して3日をやり過ごせばいい…はずだったのに…。 その日の夕刻に、怖い男につかまりました。 ・・・・ 「俺はレギラ・ルモント、君は?」 爽やかに笑う男の言葉に、サーっと血の気がひいた。 「ルカ・ロイアと申します。今日都にやってきたばかりの、右も左もわからない田舎者です。どうして俺を捕まえたのですか?」 「ん?お友達になりたいな…と思って。」 「…ははは、そうですか。」 殺される、殺されるわ。 ルカ・ロイア…偽名です。 私の本当の名はナル・ニニハハ このニニハハ島の姫です。 敵対してる大陸と島国、その王子と姫よ。 そして私は今、その王子に捕まっているの! 「お友達になると言っても、俺は人見知りでして…」 今の私は男装しているからいいものの、女だなんてばれたら絶対に駄目よ!!『ナル』だと気付かれてしまえば殺される! 「顔が青いから、少し休んでいくといい。」 ごめん(こうむ)る!! 「…人の家では余り休めませんので、俺は家に帰ります。」 早く屋敷に帰って、レギラがいるって言わなきゃ!! 「心配だから送っていくよ。」 ふざけないでよ…敵対してる島に堂々と乗り込んでくる王太子がどこにいるのよ! 「俺の家はここから少し遠いので…」 「馬で送る」 「こんなに綺麗な馬が通るような場所ではありませんので…」 「馬の良し悪しは関係ない。」 「と、とりあえず!俺は1人で帰れますので、失礼します!!」 「まって!」 手をグイっと掴まれ何をされるかと思えば、軽く口付けされた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加