第一話

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第一話

 冬の空は、薄く青く、高く澄んで、どこか寂しい。  どこからか聞こえてくる赤子の泣き声とそれをあやす母の優しい子守唄。  新鮮な魚を売り歩く男の声が通りを行き過ぎ、匂いにつられたのか塀に寝そべっていた猫が首をもたげる。  井戸端では近所のおかみさん達が、駆け回って遊ぶ子供らに目を配りながら噂話に花を咲かせていた。  ここは、雑多な人種の住まう街、峰駿(ほうしゅん)。  都会といえる程大きくはないが、さりとて田舎というわけでもない。  ほどよく栄えていて活気のある街である。  そんな峰駿の一角、長屋が立ち並ぶ住宅地の奥に、その店はあった。
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