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それから、また数日後、姫君と父君が朝母君のお部屋に入ると、母君は気持ちよさそうに眠っておられました。しかし、前日までとても苦しそうにして居られた母君の穏やかな表情に姫君は胸騒ぎがし、近寄ってみると、眠るように逝ってしまわれた後でした。
姫君は泣いて、母君のそばから離れませんでした。
父君は放心状態。
とても葬儀が執り行えるような様子では無いと皆思っておりましたが、通夜の後の姫君は泣くこともなく、凛として母君を見送られました。
母君との約束があったため、しっかり父君を支えておられました。
母君は最後まで母として、妻として慈愛に満ちとても強く優しい方でした。
そして、誰よりも姫君の事を思っておられる方でした。
そんな母君を姫君はまだ10歳と言う年齢で亡くされたのでした。
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