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「あ、あと、どうして飼い猫と分かったか聞いても良いですか?」
「えっと、数日探してた時に、黒猫がさっと横切って、あ!いた!と思って駆け出そうとしたら、あるお宅に猫が勢いよく入ったのです。
そうしたら大きな声で『ミルちゃん!また外に行ったでしょう!迷子になっちゃうからだめって言ったでしょう!』聞こえたんです。
そのお宅を横切りながら様子を伺ったところ、抱き上げられていたのは僕が首に巻いた緑のリボンをした黒猫でした。
飼い主の人が気に入ってくれたのか、緑のリボンをそのままにしてくれていました。そこで、飼い猫だったのかと、探す必要のない猫を一生懸命探してたんだなと分かったんです。」
「それはご苦労様でした。気が抜けましたね。」
「ともかく猫が無事でしたし、ちゃんと飼い主さんがいたので一件落着です。
それに勘違いとはいえ、必死に猫を探す経験ができて、感謝しています。誰かに声をかけたり、色々な人物の生活について深く考えたりするきっかけになりました。やっぱりなんとなく考えるというのではなくて、実体験が伴うと、また違います。」
「初対面なのに長々とお話を聞かせていただいてありがとうございました。謎が解けてすっきりしました。それに、同一人物なのか、カモフラージュなのか考える時間も楽しかったです。」
「いえ、こちらも別の視点をもらいました。自分の頭だけで考えるのは限界がありますから。探してみるもんですね、なんでも。」
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