エストレリャ

5/9
前へ
/9ページ
次へ
職場を去れば、 もう、プライベート。 住居扉の鍵穴に彼が鍵を差し込む。 俺の理性は施錠される。 彼の脇の下から腕を差し入れて、 俺は後ろから彼を抱き締める。 扉が開いて、玄関マットにふたりで倒れこむ。 「か、かずっ、一輝さんっ」 「日ケ原、靴ぐらい 脱がせろっ」 「一輝さんっ、 ついでに服も脱ごっ」 「おいっ、玄関先だぞっ」 雨に濡れた身体で濡れてる彼を 背後からぎゅううううっと… しながら、彼のベルトの金具を 外す。 「日ケ原、せめて風呂入ろうか」 だったらなおさら服を脱がないと… 彼のボトムに手をかけて ひきおろす。 「いったん、やめえっ!」 と、頬を平手打ちされる。 「あ♡」軽く快感。 「ああっ、もうっ、日ケ原っ」 玄関から部屋に通ずる廊下で ドタン、バタンやっていると、 横の引戸がカラララと開いた! 「カズキィ~」 うあああああっ!なんだよっ 「ひ、人が悪いなっ、 ど、同居人がいるならいると 先に…」 「ケースケ…」 「オカエリ~、メシ~」 尻尾をブンブン振ってて 機嫌が悪い黒猫だ。 「ダレ、コイツ」 「部下です」 「しゃ、しゃべってる…し …しおちゃんかよっ」 「まさか、気のせい。 んーっ、ケースケ~、 ただいま~」 ふたり(?)は お互いすりすりして、チュッとキスを交わす。 「はい、ドライとウエット、 お水ね」 半袖Tシャツとトランクス姿で、 猫の食事の世話をするチーフ。 大変だなあ…帰ってからも猫を アテンドするのか。 やたら目つきが鋭いし、名前から してオスだろう。 とりあえず、挨拶はしておいた 方がいいか… 「どもっ、おじゃましてまーす」 なんか、おもっきしニラまれた 気がする… 「ケースケは人間でいうと 25歳位…」 ふむ。しかし、そうと分かれば つづきを… 彼のトランクスを俺は手慣れた 感じで引き降ろす。 「ちょっ、ちょっと待てって! 落ち着けっ。僕には…奥に… 帰ったら挨拶したい 男(ひと) がいる」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加