エストレリャ

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「え、な、なんですと? まさか、オヤジさん?」 だが、そうじゃなかった。 恋人だった… (正確には〈恋人の写真〉だけど) これはまた ベスト オブ イケメン しかも 有名人 茶髪にアゴ髭 豹柄ジャケット フォトグラファーの 故 六車 京介(むぐるま けいすけ)だ。 たしか 二年前 取材中、国外で客死した… 日ケ原… 僕は母子家庭で育って 父親の顔を知らない 栄養士の母は 実家で料理教室を開いて 近所の主婦に教えて 生計をたててた 中央の雑誌に 教室の紹介記事掲載が 決まって… エディトリアル会社から 写真家がやって来た それが、この男(ひと) 始めは…母目あてだと 思って放っといた それが… 『あっ!』 『一輝…』 『やっ、京介、そこはやだっ! 触わんなっ!』 『おまえが可愛くてたまらん。 許せっ』 『あっ、ばかっ、なに…』 でも、ほんとうは どうしようもなく 彼に惹かれてたのは僕だ。 だけど 僕は 16歳で… 『わっ!やめろっ!』 生意気ざかりで… 『っあ…んっ!』 京介に 初めて開かれて 強く 深く 愛されたのに 不満が募った。 『カズ、その表情(かお)は 気になる。 追加オーダー欲しいなら、 来い』 『あんたが来いよっ、京介』 『何をスネてる? しょうがないな』 大きな手でアゴをつかまれ、 指で口を開かれて、それから 彼の舌が柔らかく僕の口腔内を 跳ねまわる。 何かを探り求めているような… ZIG ZAG KISS(ジグザグキッス) 『嫌(や)だ…タバコ臭い 京介は嫌いだ…』 すると彼は僕を抱えあげ、 僕の脚で自分の腰を挟んで、 それから、僕の腰を手で掴むと、 胡座(あぐら)の真ん中の 艶やかに堅く大きく反り勃った 場所に僕を垂直に降ろす。 顔を熱くした僕は、 向かい合った彼にそこから内に すっかり貫かれ、甘い痛みに 声にならない叫びをあげる。 『カズ、ほら、俺のものは おまえの内の匂いが 好きみたいだ…』 ひやかされて、仕方なく… 僕は両腕を京介の首に回して、 自分で腰を引き上げる。 自分の内のものが下に落ちて行く あの感覚が吐息になって上ると、 僕の顔はもっと熱くなる。 京介は僕の腰を掴んで、 また降ろして、今度は自分の腰を 何度もこまかく突き上げて、 前後に揺する。 すると、僕の内で蜜のような 苦しみがたくさんの 釣り鐘のように響いて、 身体の奥で一斉に鳴るんだ。 でもこれってすごく… 『キツいよ…京介っ、 は、離せったらっ』 『離すものかっ!』
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