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「ほんとボケボケです」 しゅんと項垂れる和花に秀人は微笑む。 「うん?そんなに落ち込むこと?」 「だって準備万端だと思ったのに」 「そっか、和花は真面目だね」 「ひゃうっ」 突然名前で呼ばれ、和花は変な悲鳴を上げた。みるみるうちに顔がピンクに染まっていく。 「どうしたの?」 「いや、名前で呼ばれたので。その、驚いたというか……」 「名前で呼ぶのダメ?」 「ダメじゃないです」 「せっかく恋人になったんだし、僕のことも名前で呼んでほしいけど」 甘く顔を覗き込まれ、和花は心臓が跳ねる。“ひでと”とたった三文字口にするだけなのに、思わぬ勇気がいった。心の中では“秀人さん”と何度も繰り返すことができるのに、どうにも声に出せない。和花は真っ赤になりながら、 「れ、練習しておきます」 と恥ずかしがった。 秀人はウブな恋人に声もなく微笑む。 二人で近くのコンビニまで歩いているだけなのに、隣に恋人がいることのあたたかさを感じさせてくれ幸せな気持ちになった。
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