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「なぎささん、今日時間ありませんか?」 「あら、和花ちゃんが来るなんて珍しいじゃない?どうしたの?」 「ちょっと……」 こんな時、頼りになるのはなぎさだ。いつも明るく裏表のないなぎさは、和花にとって信頼できる姉のような存在なのだ。 秀人になぎさと帰る旨をメールで伝えておき、和花となぎさは定時で上がり駅前のカフェへと赴いた。 帰宅時間ともなり、店内はざわざわと賑やかしい。二人はちょうど空いた角の席に座り、カフェラテ片手にまずは今日一日を労う。落ち着いたところで、和花がポツリと話を切り出した。 「前に通りすがりの王子様のことが気になるって言ってたの覚えてます?」 「うんうん、もちろん覚えてるよ」 「それ、佐伯さんだったんです」 「マジ?!佐伯くんだったの?」 「はい、それで私、佐伯さんに好きだって告白しちゃいました」 「えっ!和花ちゃんが?すごいじゃん!佐伯くんは何て?」 「知ってるよって。わかってたって」 前のめりに聞いていたなぎさはガクッと椅子から落ちそうになった。そして不満げに口を尖らす。 「何それ。もうちょっとムードのある言葉はないわけ?」 「はい、でも私のこと彼女にしてくれるって」 「へぇ~やったじゃん」 嬉しそうに笑うなぎさに対して、和花はカフェラテの入ったマグカップをぎゅっと握りしめる。 「でも私不安で。佐伯さん真面目な方だから、責任感で私と付き合ってくれてるのかなって思います」 急に思い詰めた表情をする和花になぎさはまたガクッと椅子から落ちそうになった。
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