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そうだな、確かに個室は欲しい、あと二人で住むならバストイレ別々がいい。キッチンに関しては三田村の意見を尊重しよう。部屋の広さは特にこだわりはない、陽当りも全く陽が差し込まない、というのでなければどの方角に向いて建っていてもいい。ペット。猫、飼いたい。でも、生き物を飼うのって大変なんだぞ、軽く考えないでほしい。猫、飼いたいけど。
じゃなくて。
「アイランド型ってどんなのだっけ?」
じゃなくて!!
「キッチンが独立してるっていうか、島になってるやつ……壁と繋がってないっていうのかな……こういうやつ」
三田村は自分のスマホで検索した画像を見せてくれた。これか、何か見た事ある。
「ダイニング眺めながら料理出来る」
めっちゃ幸せそうな顔で言うから、何となく照れ臭くなってしまい「ふーん」て興味ないふりして味噌汁を口に運ぶ。
ダイニング眺められるって事は、逆にキッチンをダイニングから眺める事が出来るという事か。あまり料理をしている所は見られない(背中しか見えない)から新鮮な感じだ。
いや、それはいい、そうじゃなくて。
「今のより大きい冷蔵庫欲しいな」
キッチンの片隅にある2ドアタイプの冷蔵庫に視線を飛ばす。単身者向けという感じの大きさだ。確かに二人ならもっと容量あるタイプの方がいいだろう。
「冷凍庫と野菜室もっと大きいのがいいんだよな、今のじゃ大して入らない」
「あーお前はそうだよな、オレあんま冷蔵庫の中入ってないからなー」
「……お前ちゃんと飯食ってる?毎日来ればいいのに」
「食ってるし、ちゃんと……自炊はほとんどしないけどさ」
「自炊しろとは言わないけどさぁ……」
あれか?結婚しよ、っていうのは毎日飯作るよって言う意味か???
「お前はもう少し太ってもいいと思うんだけどな~」
オレを上から下まで見下ろしてくる三田村。じっと見つめて来るのはいつもの事。慣れてる。でも、今日はいつもより熱が籠っている、気がする。そんな風に思うのはお前がおかしな事を言ったからだ。
「痩せてるって訳じゃないからこれでいいんだ」
まぁ、太っている訳じゃないし、三田村の言うようにもう少し体重があってもいいとは思うけど。
あれか?童話の中の魔女みたいに太らせて食べる気か?
なんて冗談言える仲の筈なのに、そんな雰囲気にならない。
じっと見て来るから。だから、何も言えなくなる。
でも、いくら鈍いオレだって数年間こんな風に見つめれたら勘違いだってするってもんだ。
お前が、オレをどう想っているのか。
勘違いなのか、確かめた事はないし、確かめたい訳じゃないけど。
「香川は結婚式ってしたい人?」
「……は?いや、考えた事、ない」
「そーかー、オレはどっちでもいいんだよな」
プロポーズの後は挙式の話か?!
随分気が早いな??まだお互いの親に紹介もしてないのに?
いや、その前にオレ「うん」て言ってないよな?結婚OKしてないよな?
ていうか。
そもそもオレ達、付き合ってないけどな?!
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