9.小説の続き

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「なぁなぁ、サージ。おまえさぁ、なんでこんな仕事始めたんだよ?こんな仕事は正直言って六でもないだろ。そう思わないか?」 仕事が一息つくと、お茶を淹れてゆっくりしていたら突然マージが話しかけてきてビクッとなった。 「あ、はぁ。んー、そうですね。私はそんなに六でもない仕事とは思ってないですけどねぇ。でもまぁ、きっかけは地球人に生まれてきたからには、地球の役に立つような仕事がしたいなとは思いましたね。」 少し不服そうな表情を浮かべながら、サージがゆっくりと話し始めた。 「地球の役に立つ仕事ねぇ。んー、まぁそうか人によってはそう考える人も珍しくはないか。で?具体的にはどんな風に助けようとしてんだ?詳しく聞かせろよ。」 マージはいつも暴力的だった。根は優しいのだが、言葉で表現するのが苦手で物言いがキツクなってしまう。 「んー、そうですね。私的には戦争や紛争なんて起きてほしくないんです。だけどそれが当たり前になっているのが、どうしても許せなくて。なんでみんなが平和になれないのか?って物心付いた時から思い始めたんですね。戦争なんてみんなが不幸になるツールでしかないって。なのになんでみんな戦争とか戦いを止めないんだろうってずっと疑問だったんです」 「ふんふん、それで?」 暴力的なマージだが、人の話を聞き出すはうまかった。相槌を使いこなし、根掘り葉掘り聞き出していく。 「私は自分に自信がないし、不安症だし、だから星占いとかにいっつも助けられてきました。それで星や星占いの事を勉強するうちにある結果にたどり着いたんです。世界の動きは全部星の動きに左右されているんだって。私は色々な星占いの先生の本やブログなどを読み漁り、色んな角度から向き合ってきました。」 「へ〜結構しっかりした理由があんだな〜。それで?」 「だからこの仕事の依頼がきた時は運命なんだって思いました。単純に星占いが好きで、その星たちを正常に動かすお手伝いが出来るなんて幸せだなって。だから私にとってこの仕事は天職だと思うんです。マージさんもそう思いませんか?」 「ん〜、おれにはどうも分からんなぁ。ごめんやで。星占いも興味ないし、地球の事も別にどうでも良いって思ってる人間やでなぁ」 マージはとても正直な人間だ。誰が何と言おうと自分の意見は絶対に曲げない。いわゆる頑固者だ。でもそれはいい意味での頑固者。 それに比べてサージは優しさの塊みたいな人間だった。人の役に立てるのなら自分の事は後まわしにしても構わない。そんな正反対なふたり。
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