12.アルフの読み聞かせが始まる。

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「さて、本題に入る前に更に心を軽くして行きましょうか。何か聞きたいことがあれば何でも仰ってくださいね。」 これはマニュアルがあるのではなかろうか?と思うくらいにテンポ良く話すシルビアを横目に、初めて自分の足でやっと立てた子鹿のように、サージの姿が何とも愛おしそうだ。 「あ、ありがとうございます。自己紹介の事だけでも疑問だらけだったので、そう言って頂けるとありがたいです。ちなみにですけど、シリウス星ってどういう星なんですか?名前はぼんやりと聞いたことはあったのですが、こことは何億光年も離れているんですよね。」 サージはドキドキしながら、尋ねてみた。 「そうですね、貴方のいる地球からは何億光年も離れた場所にある星です。大まかな事を言うと、地球と比べた時に争い事などは何一つなく、全てのものや人が平等な世界です。だからみんなが協力出来るし、それによって星のレベルが上がり、文明の世界をも創り出したのですよ。」 「文明というのはどういう世界の事でしょう?」 「文明と言うのは一言で説明するには、とても難しい言葉なのですが...。世の中が進み、精神的・物質的に豊かになる状態の事です。現代の地球はまだ文明の域には達していないですね。ちなみにこの地球でも紀元前にはいくつかの文明の歴史があったようですが、まだまだ未完成な文明ばかりでした。争い事がなくなり、全ての者が幸せになれた時に初めて文明が訪れます。」 サージの頭のなかでは『はてな』マークがいっぱいになってきて、脳内を飛び交っていた。 「口頭で説明してもなかなか分からないかもしれないですね。やはり人間は実際に体験しないと分からない動物ですから、仕方がないです(笑)」 「もう1つ質問いいですか?」 「どうぞ。何なりと仰ってくださいね。」 「ありがとうございます。シルビアさんの性別って男性…なんですよね?見た目や話し方が女性っぽかったので、どちらなのかなぁって。失礼だったらすみません。」 シルビアは口元に手を添えて、ふふっと静かに笑った。 「全然大丈夫ですよ。確かに私は見た目や話し方が女性性があるのでよく間違われるのですが、正確には男性ですよ。でもね私の前世は女性だったから、現世でも女性性が強いのかもしれませんね。」 「へぇ~!そうだったんですか。それは納得です!」 サージはようやく腑に落ちた様子で、納得の表情が現れてきた。 「さて、ではこれくらいで大丈夫でしょうかね。まだまだ話し足りない事があるかもしれませんが…時間もそろそろあれなんで、次のフェーズに進みましょうか。」
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