13.ここで一息...。

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アルフは切りの良さそうな所で、一旦読み聞かせを終わらせた。 「何だか凄いことになってきたねぇ。今までとはまた違う展開になってきたから、自分で読みながらハラハラしてしまったよ。でも凄く面白い。とにかく次の話をドンドン読み進めたくなる物語だね!」 アルフは何時になく興奮していた。今までは読み聞かせをしてもらっていた立場だったけれど、自分で読んでみるとまた違う感覚になっていく様だった。 「アルフの読み聞かせは凄く良かったよ。読んでくれてありがとう。アルフの声を聞けるのが嬉しいし、アルフの声で自分の書いた物語が聞けるなんて最高に幸せな気分だわ。」 「良かったぁ。喜んでもらえて。実はエリサの小説を読むまでは、大丈夫かなぁ?って心配してたんだ。」 「何でアルフが心配になるの?ふふっおかしな人ね。」 「何でもさ、初めての事をする時って変に緊張するじゃない?そんな感じだよ。人生で読み聞かせなんてさ、そんなにする機会ないでしょ。」 「確かにそうかもしれないわね。私だって自分の書いた小説を読み聞かせするなんて、初めての事だったのよ。私の場合は物語は知っている立場だけど、自分の中のものをさらけ出すのは違う意味での緊張感はあるかなぁ。」 「それにしても物語が進んでいくにつれて、次の展開が全然見えないね。もう今すぐにでも続きを読みたい気持ちが溢れてるよ。何だかワクワクとドキドキが止まらないんだ!」 アルフの瞳はいつになく輝いて見えた。今が1番輝いている感じがしていた。今までのアルフはこれと言って特別な事はなく、心ここに在らずという感じで生きてきた。そんなアルフが何かに夢中になる事は珍しい事だった。
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