2.エリサの幼少期

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エリサは幼い頃より文章を書くという行為が当たり前になっていた。それはエリサの記憶と深い関係があるようだ。 産まれた時から記憶の領域に障害があり、この病院には長いことお世話になっている。 エリサの脳は普通の人とはどこか違う。 一晩眠るとある一部分の記憶だけが、普遍的に無くなっていると言う。 例えば感情に関する記憶。これが著しく乏しくなってしまう。激しい怒りや哀しみを感じた時に、一晩寝るとその記憶だけが欠損する。 喜びに関する記憶も自分の中で最上級に感じたならば、それも次の日には消えていると言う。 もちろん当の本人には分からないので、周りの証言に頼るしかない。 だからエリサの中では全ての記憶の欠片は平坦で平凡で平均的なのである。 そういう事もあり、エリサは日々の記録を毎日欠かず書き残すようにしている。それが習慣となっていったのだ。
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