2.エリサの幼少期

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その代わりに知識に関する記憶だけは、普通の人間らしからぬ程の超越した領域に達していたのだ。 脳が欠損した部分を補うように、その他の部分が天才的な記憶力を持つようになった。 参考書のような分厚い本でも一冊の全ページをまるで写真に撮ったかのように、脳に映像で記憶し思い出そうとすれば一瞬で引き出す事ができる。 それはまるで生き物ではなく、コンピューターのシステムに保存されたデータのようだ。 「天才的な人ほど自分の事を凄いと思わない」とはよく言ったもので、エリサもそのひとりなのである。 当の本人はこのような自分の脳を凄いと思っていないし、むしろ卑下(ひげ)してしまうくらいに自分という存在に自信がなかった。 エリサは大人になった現在でも、心は子供のように純粋で(けが)れを知らないでいる。
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