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そして翌日の明け方、アランはゴロツキのような格好をしている隠密姉弟と共に、こっそり屋敷を脱出した。集合場所となっている郊外の河原に三人が向かうと、すでにチェリー達の親戚が二十人程待機していた。
「お待ちしておりました、アラン殿下。」
「アラン殿下にお目にかかれて光栄でございます。」
「本日は、どうぞ宜しくお願い致します。」
「不束者ではございますが、精一杯務めさせて頂きます。」
アランの姿が見えると、彼等は一斉に跪いて挨拶をした。チェリーらと同様にゴロツキの格好をしているため、この丁重な出迎え方にはかなり違和感があるが、本来は歴とした隠密なので当然だろう。
「チェリーとノアの親戚だっけ? 今日は宜しく。それでチェリー、もうそろそろ出発した方がいい?」
「そうですね、今から出発したら丁度いいかと。」
「よし、では行こう!!」
こうして、アランと愉快なゴロツキ達は、憎きアルマン大公に一泡吹かせるため、意気揚々と首都へ向かったのであった。
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