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新聞社を作ろう
「皇后陛下から話は聞いていましたが、いざこの光景を目にすると、やはり違和感がありますね……。」
フェリシア皇后の依頼で、新聞社の創立者となったパリス伯爵がこぼす。無理もない。アランを有利にするための新聞社の創設会議に、何食わぬ顔をしてレオンが同席しているからである。
「気持ちは分かるけど、第一皇子は信頼できるから安心して。」
フェリシア皇后の言葉に、パリス伯爵は複雑な顔をする。
「いや、もちろんそれは信頼致しますが……。レオン殿下、本当に良いんですか……?」
「良いも何も、新聞社創立を発案したのは私だからな。それに、陛下から聞いているとは思うが、私自身は全く皇太子にはなりたくない。陛下とは利害関係が一致しているんだよ。」
(皇后陛下も強力な助っ人を手に入れられたもんだ。運がいい。)
レオンが間髪入れずに言い切ったので、パリス伯爵はこの件についてとやかく言うのをやめた。
「それでは、会議を始めましょう。まずは事務的な事についてね。パリス伯爵。新聞社は最短で何日あれば出来るの?」
「二週間もあれば、一通りの準備は可能です。」
「そう。現時点で不足しているものはないかしら?」
「そうですね。紙がかなり不足しています。一週間以内に一万枚程欲しいので、支援願いたいです。」
フェリシア皇后の問いに、パリス伯爵はよどみなく答えていく。レオンほどではないものの、パリス伯爵は非常に優秀な人材である。だからこそ創立者に抜擢されたのだ。そうして、事務的な話はトントン拍子に進み、本題に突入した。
「では、本題に入りましょうか。記念すべき第一回目の記事の内容について。第一皇子、お願いします。」
フェリシア皇后の指名を受けて、レオンは持っていた資料を二人に配った後、話し始めた。
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