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「……分かりました。それでは、レオン殿下のおっしゃるような記事を作成致します。全てはこの私にお任せ下さいませ。」
レオンの意志が固いことを認識したパリス伯爵は、腹を括った。
「ええ。お願いね。……では今日の会議はこれまでにします。二人とも、集まってくれてありがとう。もう帰っていいわよ。」
フェリシア皇后の言葉に、二人は恭しく頭を下げた後、部屋を去った。一人残された彼女は、ぼんやりと外を見ながら呟く。
「第一皇子が味方で本当によかったわ……。もし彼が皇太子の座を望んでいたならば、どれだけ私が頑張っても、勝ち目はなかったわ。彼には感謝しないとね。」
フェリシア皇后は、昔からレオンの事を密かに警戒していた。神童エピソードを耳にする度、実際に会ってその聡明さを見せつけられる度に、まだ幼い彼に邪な感情は抱くべきではないと考えつつも、危機感を募らせていた。
しかし、そんなレオンが、今や自分に必要不可欠な協力者になるとは、全く想像していなかった。
「神様……。この奇跡に心から感謝致します。」
普段はそこまで信心深くない彼女だが、今回ばかりは心の奥底から神に感謝するのであった。
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