アランの作戦2

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「はあ……。こんなに気分がどんよりした日は初めてだよ。こんな時は気分転換しないとなあ……。おい、そこの君。ジェームズ中将を呼んでくれ。」  アランが近くにいた侍従に命じる。 「かしこまりました。鍛錬をなさるのでしょうか?」 「ああ。あいつにはそれ以外の用事はない。」  アランが笑いながら言い切る。ジェームズ中将とは、彼の剣術の唯一の対戦相手である。何故他の人とは対戦しないのかというと……。  アランが強すぎて、一瞬で勝敗がついてしまうからだ。もっとも、ジェームズ中将も、あくまでだけであり、アランには連戦連敗である。そんな彼は、いつかアランに打ち勝とうと、剣術に全てを捧げている。 「そういえば、昔、兄上と手合わせした時は面白かったな。十分の一位しか力を入れてないのに、兄上の剣、飛んでいっちゃったし。」  鍛錬場に向かうアランは、昔の事を思い出して笑いがこみ上げる。まだ皇太子争いの事など考えなくてよかった頃の、ほのぼのとした思い出である。  程なくして鍛錬場に着くと、すでにジェームズ中将が待っていた。 「アラン殿下。お待ちしておりました。三週間ぶりですので、私も気合いを入れております。」 「ああ。そうだな。君の腕がどれだけ上がったか、見させてもらおう。」 「はい、是非。……それと、殿下。お願いがあるのですが。」 「なんだ。」 「もう漆黒宮に入るような真似はおやめ下さいませ!! 私のためにも!!!」  ジェームズ中将の必死の願いに、アランは大笑いする。 「剣に全てを捧げた君らしい願いだな。分かった。約束するよ。」 「ありがとうございます!」 「では、早速始めようか。今日はどれだけ持ちこたえられるかな?」  そうして二人は剣を構えた。
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