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「殿下!? 本当に宜しいのですか?」
注文を聞きに来た従業員が驚愕する。無理もない。アランはこの店が開店して以来、高額すぎて誰も開けたことがない、伝説のボトル『彗星の煌めき』を注文したのだ。しかも二本も。
「ああ、もちろん。この国の皇子たるもの、これくらいは注文しないとな。」
アランが言い切ると、周りの美女達が歓声をあげる。そして従業員も、アランが本気なのを悟り、夢見心地でボトルを取りに行った。
「さあさあ、今日は楽しもう!!」
アランは、伝説の酒を惜しげもなく彼女達に振る舞いながら、笑顔を見せた。お気に入りの子と肩を組みながら盛り上がっている彼の姿は、まさに遊び人そのものだった。
それ以来、彼は夜な夜な色々なクラブに足を運び、お金を落としまくった。彼が店を訪れると、必ず歴代で一番売り上げが上がるので、どのお店も、彼を呼び込むのに必死だ。
そして、毎日そんな事ばかりしているので、巷でも、徐々に噂が広まっていった。
「アラン殿下は、毎晩のようにクラブで遊びまくっているそうだぞ。」
「なんでも物凄いお金を散財するらしい……。」
「店はウハウハだろうけど……。皇太子候補としてそれはどうなんだ?」
「そうだよな。皇帝のお仕事は膨大だと聞くのに……。仕事放棄しそう。」
アランの評判は、噂が広まるにつれ、少しずつ落ちていた。彼の目論み通り……。
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