アランの作戦2

5/7
前へ
/560ページ
次へ
「殿下!? 本当に宜しいのですか?」  注文を聞きに来た従業員が驚愕する。無理もない。アランはこの店が開店して以来、高額すぎて誰も開けたことがない、伝説のボトル『彗星の煌めき』を注文したのだ。しかも二本も。 「ああ、もちろん。この国の皇子たるもの、これくらいは注文しないとな。」  アランが言い切ると、周りの美女達が歓声をあげる。そして従業員も、アランが本気なのを悟り、夢見心地でボトルを取りに行った。 「さあさあ、今日は楽しもう!!」  アランは、伝説の酒を惜しげもなく彼女達に振る舞いながら、笑顔を見せた。お気に入りの子と肩を組みながら盛り上がっている彼の姿は、まさに遊び人そのものだった。  それ以来、彼は夜な夜な色々なクラブに足を運び、お金を落としまくった。彼が店を訪れると、必ず歴代で一番売り上げが上がるので、どのお店も、彼を呼び込むのに必死だ。  そして、毎日そんな事ばかりしているので、巷でも、徐々に噂が広まっていった。 「アラン殿下は、毎晩のようにクラブで遊びまくっているそうだぞ。」 「なんでも物凄いお金を散財するらしい……。」 「店はウハウハだろうけど……。皇太子候補としてそれはどうなんだ?」 「そうだよな。皇帝のお仕事は膨大だと聞くのに……。仕事放棄しそう。」  アランの評判は、噂が広まるにつれ、少しずつ落ちていた。彼の目論み通り……。
/560ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加