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レオンの作戦1
「私は頭脳戦でいく。絶対にあいつには負けない……!」
アランと別れた後、レオンは一人で作戦会議を開いていた。
「うーん、まずは味方を作らないとな……。一人じゃできることに限界がある……。」
ブツブツ独り言を言っていたレオンだが、やがて、『閃いた!』とばかりに目を輝かせた。
「一人いるぞ!私に必ず味方してくれる人物が……。早速会いに行こう!」
善は急げとばかりに、レオンはその人物の元へ出向いた。
「……誰かと思いきや、第一皇子ではないですか。私に何の用ですか?」
その人物とは…。アランの母、フェリシア皇后であった。
「お久しぶりです。皇后陛下。実はお願いがございまして……。」
「お願い? 私が貴方にできることなどそうありませんよ。私は貴方の政敵であることをお忘れなく。」
「いいえ。陛下。陛下は必ず私のお願いを聞いて下さるはずです。」
レオンが自信満々に言うので、フェリシア皇后は首を傾げる。
「……どういうことかしら?」
「つまり……。アランを皇太子にするために、協力して欲しいのです。」
レオンの衝撃的な発言に、フェリシア皇后は固まった。
「……は?」
「私は是非、アランに皇太子になって欲しいのです。ですので、これから私は、アランの評判を上げるために全力を尽くします。なので、陛下には私に協力して頂きたくて。」
「貴方の発言が本当なら、私としてはありがたいわ。だけど、何か裏があるのではなくて?」
ようやくフリーズから解放されたフェリシア皇后が疑わしげにレオンを見る。
「いいえ。裏などありません。……正直に申し上げますと、私は皇太子になりたくないのです。父上のように、大量に仕事をこなせる自信が全くございませんので。」
「でも、マリナ皇妃がそんなこと許すかしら?」
「許さないでしょうね。でも、母上の意向など無視します!」
はっきりと言い切ったレオンに対して、フェリシア皇后は思わず吹き出した。
「……陛下?」
「とっても面白い話だわ。なんとまあ変わった考えの持ち主ですこと。」
(いや、あんたの息子も同じだけどな。)
レオンは本音を隠しながら神妙に頷いた。
「でも、まだ信じるには足りないわ。だから……。」
「だから…?」
「本気度を見せて頂戴。私が今から言うことを実行するなら、私は貴方を信じるし、利害関係が一致する者同士、全力で協力するわ。」
そう言ってフェリシア皇后はレオンにごにょごにょと耳打ちした。レオンはそれを聞くと、満面の笑みで頷いた。
「陛下。それくらいお安い御用です。三日ほどあればできますので、お任せ下さい。」
「ええ、朗報を期待しているわ。」
口元に笑みを浮かべたフェリシア皇后に一礼した後、レオンは彼女の元を去った。スキップせんばかりにご機嫌で。
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