134人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴方のスキャンダルを捏造ね……。具体的にはどんなことを考えているのかしら?」
「今考えているのは、敵国……フラン王国などの貴族令嬢との禁断の恋、とかです。皇太子候補たるもの、一番手を出してはいけない相手でしょう? それをスクープして、私の支持率を暴落させるんです。」
フラン王国。それは、プロイド帝国とは長年にわたって敵対関係にある国だ。直近では三年前に、かなり大規模な戦争をしている。その戦争自体は終息したものの、またいつ再発してもおかしくない。そういう関係だ。
「確かに、第一皇子の案は、なかなかインパクトがあるわ。もし、それが世間に出回れば、大騒ぎになること間違いなしね。パリス伯爵はどう思う?」
「陛下のおっしゃるとおりです。これほど大きなスキャンダルはそうないでしょう。ただ、気になるのは……。レオン殿下、本当に恋愛をするわけではないですよね?」
「もちろん。あくまで演技だ。」
流石のレオンも、リスキーすぎる相手と本当に恋愛をする気は毛頭ない。
「でしたら、その令嬢、どうやって手配するんですか……?」
だが、パリス伯爵のもっともな質問に対しても、レオンはもう回答を用意していた。
「方法はあるよ。事情を話して、買収したらいいんだ。そして、それこそパリス伯爵の仕事さ。」
敵国の令嬢を買収する、というとんでもない計画に、フェリシア皇后は思わず目を丸くした。そして、それを実際にさせられるパリス伯爵は、気が遠くなりそうであった。
最初のコメントを投稿しよう!