レオンの作戦2

2/3
前へ
/560ページ
次へ
「でもねえ……。せっかく貴方が協力してくれるっていうのに…。うちの馬鹿息子がとんでもないことをしでかしてしまって……。」  フェリシア皇后は深い溜息をつく。 「アランが何をやらかしたんですか?」 「……ちょうど貴方が大神殿に行っている頃よ。あの子ったら、一人で下町の居酒屋に出向いた挙げ句、そこで大暴れしたの。『マリナ皇妃は素晴らしい方だ!』って叫びながら…。」 (あの野郎……。母上の人気が皆無なのが、私のだったのに……。それを潰すようなことをしやがって……。)  アランの作戦だと気づいたレオンは、腸が煮えくりかえりそうなのを必死で堪えていた。顔には全く出さないが。 「それは困りましたね……。アランは今どこにいるんですか?」 「漆黒宮よ。皇帝陛下が大層お怒りになってね。『働いて全額弁償しろ!』とおっしゃったのよ……。出られるまで三週間ほどかかるんじゃないかしら?」  漆黒宮。それは、罪を犯した皇族が収容される宮殿だ。アランはその一室に閉じ込められて、弁償費用を賄うために現在せっせと軽作業に励んでいる。 「……。」 「どうしたらいいのかしら……。漆黒宮に閉じ込められたことのある皇太子って今までいないのに……。」  フェリシア皇后はすっかり憔悴してしまっている。しかし、その一方、神童皇子と異名を持つレオンは、早速対応策を考えたようだ。 「陛下。ご心配には及びません。簡単な話です。ピンチをチャンスに変えればいいんです。」 「どういうこと?」 「アランは最低三週間は漆黒宮から出られないんですよね?」 「ええ、そうよ。」 「でしたらその間に、アランの評判をうなぎ登りにしてしまいましょう。三週間もあれば余裕です。」 「そんな事出来るの?」 「ええ、可能です。」  レオンは安心させるように、フェリシア皇后に微笑みかけた。 「新聞社を作りましょう。」
/560ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加