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「新聞社……?」
フェリシア皇后は、彼の言っていることが理解できずに首を傾げた。
「ええ。アランを褒めちぎり、私をコテンパンに貶す新聞社を作り、世論を味方につけるんです。」
「なるほど……。」
「手始めに、今回の居酒屋乱闘事件について、無理やり美談に仕立ててしまいましょう。そうすれば、アランは罪人からヒーローに変身します。」
フェリシア皇后は舌を巻いた。なぜこの青年が幼い頃から神童神童と、もてはやされていたか、分かったような気がした。
「その案、採用するわ。……それで、私は何をしたらいいかしら?」
「間違っても、私の手元で新聞社を作るわけにはいきません。表向きはアランのライバルですから。」
「それはそうね。」
「そして、陛下自らが作られるのも立場上、好ましくありません。ですので、陛下のご実家の息がかかった貴族に作ってもらうのが良いかと。」
「分かったわ。すぐに手配します。早いほうが良いわよね?」
「もちろんです。一刻でも早くしないと、アランの悪評が広まってしまいます。」
「それじゃあ、今日にでも、創立者を決めるわ。早ければ今日の夜、会議を開くから、貴方もこっそり参加して下さいな。」
「かしこまりました。」
レオンが頷くと、フェリシア皇后は準備のためにそそくさとその場を後にした。
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