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「……申し訳ありません。」
アランはその剣幕に圧倒されながら、父ジョン17世に頭を下げた。しかし、彼の怒りは収まらない。
「怪我人がいなかったことが不幸中の幸いだが……。我が息子ながら本当に情けない。お前には心から失望したぞ!!」
「陛下、本当に申し訳ありません。母たる私の指導が至らなかった故です。私の方からよく言って聞かせますので、怒りを収めて下さいませんか。」
ジョン17世を何とか宥めようと、フェリシア皇后が口を挟む。しかし、全く効果はなかった。
「皇后。アランはもう十七歳だ。母親の指導を必要とする歳ではない。自分のしでかした事は、自分で責任を取るべきだ!」
ジョン17世はアランを睨み付けながら宣言する。
「アラン! 漆黒宮での謹慎を命ずる! そこで働いて、被害者に全額弁償しろ! それが終わるまでは漆黒宮から出る事を許さん!!」
「……かしこまりました。この度はこのような騒動を起こしてしまい、申し訳ありませんでした。」
流石にあれはやりすぎたと反省したアランは、処分を素直に受け入れた。しかし、それを聞いて焦ったのはフェリシア皇后である。
「陛下、漆黒宮だけはお許し下さいませ! 被害を受けたお店への弁償は必ず致しますから、それだけはどうか…!」
フェリシア皇后はひれ伏さんばかりに懇願したが、ジョン17世は静かに首を振った。
「皇后たっての願いであるが、それは聞けない。皇子たるものが国民に迷惑をかけるなど、あってはならんのだ。……連れて行け。」
こうして、フェリシア皇后の懇願も虚しく、アランは漆黒宮へ連行されてしまったのである。
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