暁峠の三郎太

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 暁峠(あかつきとうげ)に住む天狗見習いの三郎太は、本当に困っていました。 「どうしよう、どうしよう」  今日、人間の子供たちと遊び回った山の上にある神社。  どんぐり拾いをした森の中、水切りをした河原も探しましたが見つかりません。  もう三度もグルンと探し回ったというのに、大事なものが消えてしまったのです。 「どこで失くしたんだ?」  見上げた空は茜色、カラスの群れが山のお家に帰っていくところでした。  そんな三郎太を見つけて、中でも一番大きな一羽のカラスが舞い降りてきました。   「どうした? 三郎太? なんで泣いている?」  カラスはただのカラスではありません。  神の使いの八咫烏(やたがらす)、三郎太のお友達です。
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