『違う景色が見たかった』

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(今日はずいぶんはかどったな…) 俺は、両腕を上げ、大きく伸びをした。 ふと見ると、柱の時計は0:40… 明日も仕事だ。いい加減、横にならなくては… 今日は、少々無理をして疲れたけど、気分は良い。 それはきっと思ったよりも集中して書けたせいだろう。 僕はパソコンの画面に目を移す。 (うん、なかなか良い言い回しだ!) 誰にも言ってないけれど、僕は本気で小説家を目指している。 僕は昔から読書が好きだった。 たくさんの本を読むうち、ふと、自分でも書いてみたいと思い、書き始めたのが数年前。 見よう見真似でなんとか書き上げた物語だったけど、その時の達成感のようなものが忘れられず、僕はどんどん創作の道にはまりこんでいった。 今まではとにかく一人で黙々と書いていただけだけど、それでは進展がないと気付き、少し前からネットの小説サイトに投稿するようになった。 いくつか登録している小説サイトの中で、今は『月の石』というサイトに力を入れている。 このサイトでは年に数回『月の石賞』というコンテストが開催されている。 今までに三回投稿したが、残念ながら入賞することは出来なかった。 それなりに自信があっただけに、正直へこんだけれど、三回連続で落ちると、逆に、ファイトがわいてきた。 しかも、今回はとても面白い話を思い付いたんだ! これは、絶対に、最優秀賞間違いなしだと思っている。 最優秀賞は栄誉であるだけではなく、賞金30万円と書籍化という副賞が付く。 自分の書いたものが本になるなんて、考えただけでもゾクゾクしてしまう。 今回の投稿作にはとにかく自信がある。 なんせ、プロットを読むだけで、読むのが止められなくなる。 それほどまでに面白い話なんだ。 今日で75ページまで書けた。 投稿期間にはあと一か月弱あるし、その間に25ページを書くのは楽勝だ。 ただ、エンディングの前に、ちょっとややこしい設定を書かなくてはならない。 精神力のいる場面だ。 そのために、数日書くのを休んで、エネルギーを蓄えようと考えている。
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