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天井近くに浮遊する美魔女風のボディー。長い黒髪は空中をワカメのようにゆらゆら漂わせている。卵のようなつるんとした白い顔の中にあるのは巨大な唇一つだけ。
『あんたこの前も同じところで足ぶつけとったよな。本当にアホやなぁ。ぼーと毎日生きとるからやわ』
大丈夫か、などという労る言葉など何一つなく、ただひたすら俺の失敗を責め始める。
更に追い討ちをかける一言をいつもヤツは必ず言う。
『やっぱりあんたお父さんと似てるわ〜」
......オヤジごめん。俺、本当に嫌。
そう今、話かけている唇幽霊は俺のオカンである。
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