カイトサイド 2

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「わー、こんなところで珍しい!」 しまったいつもの変装用メガネしてないなんて考えていたら 「観光ですか?」 「はい・・・」 そこで会話は途切れた。 女性はにこっと笑いながら隣の席に座り、パソコンをカバンから取り出し作業を始めた。 あれ?気づかれてない?なんて考えながらコーヒーを飲んだ。 列車の出発時間が近づいたので立ち上がった。 すると隣の女性も同時に立ち上がった。お互い目が合い 「あれ?もしかして4時発のパリ行き?」 「はい、そうです」 「同じね」 女性は微笑んで茶色のローヒールを鳴らしながら先に出て行った。 列車が来ていたので自分の車両と席を探し座った。偶然は重なる。その女性も同じ車両で2、3列斜め後ろに座っていた。通路側の席だったので窓側の席に自分の荷物を置いたとき 仏「そこ、ヒック、俺の席、ヒック・・・」 酒酔いした大柄の男が近づいてきた。 慌てて荷物を退かせて立ち上がり奥の席へ通した。 車両は結構空いているのに俺の隣なんだと思いながら座った。なんだか嫌な予感がする。 案の定酒酔い男は絡んできた。 仏「にいちゃん、日本人か中国人か?観光か?俺いいとこ知ってるぞ」 どうしたものかと困っていると通路に人影が近づいてきて
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