カイトサイド 2

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仏「あらーこんなところで!偶然ね!ゆっくり話したいからあっちに座りましょう!」 さっきの女性がその男に聞こえるように話し出した。そして腕を掴まれ荷物を持てと促され移動した。 「大丈夫?酔ったふりして財布やパスポートをスルやつがいるから気をつけてね。あ、ごめん、大きなお世話だった?もしかして余計なことしちゃった?」 一人で矢継ぎ早に話し出し、ピンクに彩られた少し分厚目の唇が忙しく動いた。 「いえ、とても助かりました。困っていたので」 少し笑いながら礼を言った。 女性はじーっとこちらを見て何か言いたそうだった。ああ、バレたかなと思ったら 「あの、あれ、それ、イケ『イケメン』だ!」 と答えが出てスッキリしたような顔をした。 どうやらカッコイイの別の言い方がすぐ出てこなかったらしい。俺は自分の自意識過剰さにばかばかしくなり、またその珍回答におかしくなり声を出して笑った。そうかこの人は俺を知らないんだ。 「え?あ、ごめん、うるさかったね」 「あの、こちらには住んでいるんですか?」 「うんそう、学生時代からだから7、8年かな」 「あまり日本には戻ってないですか?」 「んー 4、5年は帰ってないかも」 じゃあ俺のことは知らないか。モデルの仕事をしだしたのは5、6年前のことだ。
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