樹里サイド 11

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夜仕事をしていると携帯が鳴った。カイトだった。 「もしもし、樹里?今大丈夫?」 「うん、大丈夫」 「オフィスも店も行ってないんでしょ?食べ物とかどうしてる?ちゃんと食べてる?」 「ふふ、大丈夫よ。ほとんどデリバリーしてもらってる」 「・・・その、危ない目に合ってない?」 「うん、外出てないし、大丈夫」 「あなたの仕事の方こそ大丈夫?スポンサーとか降りたりされてない?」 「今のところはね。・・・今日ポールと木崎さんとオンラインミーティングした」 「ええ、聞いたわ。うちのモデル契約を継続してくれると聞いた。木崎さんがよく許してくれたわね」 「まあ2人で説得した感じだね(笑)」 「2人?ポールも?」 「ああ、彼には本当に感謝する」 「ありがとう。ポールにも伝えておくわ」 お互い”会いたい”のにその言葉は口にしない。今はできない。これが大人。悲しいけど。彼の仕事に携わる人が多すぎるが故自由に動けない。わかっていたはず。
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