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あなたのにおいがした。 それは煙草のにおい。 私はそれを吸っているのが誰なのか想像して、期待して、確認をする。 もうそれは恒例行事。 もちろんあなたでは無い人。 これも定例。 目に映る喫煙者誰もがあなた、そんなわけはないのだから。 向かいの道を中学生が歩いている。 中学生は喫煙者を目に映すと、ささやかに顔を顰めた。 顔を顰めてから深く息を吸い、そのまま息を止めた。 分かりやすく歩行の速度を上げると、通り過ぎていった。 煙は有害だから。 せめて吸うなら誰もいないところにすればいいのに ってそんなことを思ったのではないか。 あの頃の私のように。 まだ隣にあなたがいた頃の。
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