披露宴

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 でも、そんな状況なのに私の瞳からは涙が出てこない。その意味も理解できない。  多分それは、私にとっての嬉しさが、いつも涙から解放してくれるものであったからなのだと思う。  きっと、嬉し泣きの経験のない私は、その感情が欠けてしまったのだと思う。  今は久しぶりに家族が出来るその嬉しさで、両手を広げて叫びたい気持ちで一杯、脚だって上げたい気分。  だけど、そんなことをしたらこの場の空気を思いっきり壊してしまう。  だからこの気持ちは、私への配慮で披露宴よりも盛大になることになってしまった、この後の二次会まで取って置くことにする。  今は、思いで溢れているこの場の空気を大切にしたいし…
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