犯行声明

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犯行声明

翌日の朝から警視庁は緊急の爆弾テロ事件の捜査会議が開かれた、でかい会議室の前には警視庁捜査一課長の牧田と管理監の上山が揃って居座り机に置かれたマイクスタンドで捜査員に近況報告を話していた、「今回の爆弾事件は人々が集まる場所と時間帯を会わせていたことで、以前から計画をしていたという事がわかる、一課から報告を」険しい眼で会議室に座る刑事達を見つめる牧田は話を終えるとすぐさま椅子へと座り込んだ、そして一課からの報告が始まった、「昨日爆発を起こした爆弾の様式は、起爆剤の時限爆弾だとわかりました、しかし別に容疑者が爆発を起こしたいと思えばスイッチ一つで爆発が起こる爆弾ということもわかりました」前に立ち上がる刑事は報告を話し終えると席に座った、その後ろでは冷静沈着に前を見つめる、沢田の姿が見えた、その姿を上山はそっと覗いた、「已然速やかな事件解決に向け捜査してくれ、会議は以上」牧田はそう言うとテーブルに置かれていたファイルを閉じた、牧田が終わりを告げると一斉に捜査員は立ち上がり捜査へと動き出した、会議室は緊迫した空気から慌ただしい空気へと変わった、沢田は立ち上がると人混みの間を掻き分け本部に座る一課長のもとへと向かった、「一課長!」 「お、沢田待ってたぞ、こちらバディを組む巻町警部補」すると牧田の横から若い青年刑事が出てきた、「巻町です、よろしくお願いします沢田警部、」巻町の方を振り向くと沢田は顔色を変えることなく挨拶だけを交わした、すると牧田は沢田の肩を軽く叩き苦笑いした、「そういう事だから沢田、よろしくな」そう言い放つと牧田は前のテーブルに置かれたファイルを持ち上げその場から去った、そして沢田も浮かない顔を見せながらも巻町を連れ出し会議室を出ようと歩き出した、巻町は険しい顔を見せながら沢田へとついていった、「一体これからどこへ向かうんですか?」 巻町は歩きながら沢田に疑問を投げ掛けた、「これから当の爆発現場に向かう、周辺の監視カメラに怪しき人物がいないか探りを獲るためにな」沢田は後ろに歩く巻町を振り返ることなく淡々と応えた。会議室はまさに戦場のように緊迫としていた。 9時20分、コンビニエンスストアの駐輪場で会社員の桝田と桝田を連れ出した女子高生はその場で座り込み数分前に買ったおにぎり食べながら休んでいた、桝田は中にシャケの入ったおにぎりを食べながら時々少女の方を見つめたが、何故自分を連れ出したのか未だわからずにいる、少女は黙々とおにぎりを食べている、そして食べ終えるとコンクリートから立ち上がり桝田に軽く会釈した、「ありがとうございました、おにぎりもご馳走になってしまって」桝田は思わず苦笑した、すると少女は突然別れを告げ桝田のもとから離れ、去っていった、だが桝田は何か心の中にモヤモヤとした疑問が積もりに積もって心配になり思わず少女を追いかけると、道路の端に隠れる彼女の姿が見えた、「何してるんだ!?」するとすぐに少女は桝田の方を振り向きこちらに眼で訴えているのがわかった、「助けて」小声で少女は桝田に向かって叫んだ、慌てて少女の方へと向かうと彼女は反対道路に止まる黒の車を指差した、「あれが昨日から私をつけてくるんです」 「一先ず、ここを離れよう!」 車を止め彼女をつけてきた記者の阿賀野は彼女に目線を向けられると慌ててハンドルの下に潜り込みこっそりと上を覗いた、しかしさっきまでいたはずの彼女の姿は消えていた「チクショウ!」思わず阿賀野はハンドルを叩いた、暫くしてすぐに車を動かそうとエンジンを付けた瞬間、助手席に置いてあった携帯が鳴り出した、相手は部長の本宮からだった。 9時30分、警視庁宛てにとあるメッセージが送られた、事件が動き出したのだ、会議室では駆け足で本部へと走る刑事が見えた、「一課長!容疑者と思われる人物からのメッセージが届きました」そう言うと回りにいた皆が驚き振り向いた、「すぐに映像を繋げろ」 「わかりました」牧田は会議室の前に設置されているモニターへと椅子を回し画面を見つめた、管理監の上山は険しい顔で椅子に体を倒し腕を組んで眼を瞑った、「映像流します!」 するとモニターには上空から下の景色を流した映像が最初に映し出された、そしてその数秒後声を加工させた容疑者の声が流れ始めた、「警察の皆さん昨晩はとても大変でしたね、、、、」牧田はしわをよせじっと見つめている、「昨日の爆発は私からの警告です、私は東京のあちこちに爆弾を設置しています、今から話す条件を今から24時間の間に達しなければ、都心に住む国民は爆発に巻き込まれるでしょう、」 その頃沢田達は、昨晩の爆発が起きた現場近くの道路に車を走らせていた、「沢田警部!たった今犯人から犯行声明が送られたそうです」沢田はすぐに管理監の上山に連絡をかけた、「もしもし、沢田です、容疑者は何を話した」沢田じっと電話の奥に耳を澄ませた、電話の奥では騒がしくする捜一の声が聞こえては余裕が無い状況であるのはすぐに察知した、「沢田!容疑者は他にも爆弾を設置していると話していた、くれぐれも現場では気をつけろ」 「あぁ、わかった」 上山は本部の机に座りながら沢田と通話していた、そして上山は一度会議室を見つめると沢田に容疑者の声明内容を話し始めた、「容疑者はまず現金10億円の支払い、場所は新宿駅のロッカーでバッグを積めろと話していた、だが問題はもう一つある」上山の口調が突然より重く変化した、「あと一つはなにと?」 「現、榊原総理大臣の辞職、それがもう一つの目的だと話していた」 すると沢田は一度携帯から耳を離し只じっと外を見つめた、横で運転する巻町はその沢田の仕草に不安が募った、「沢田!何か情報を掴めたらすぐに本部に連絡してくれ、電話を切るぞ、」上山からの通話が切れると巻町は気になり沢田に本部から何を話されたのか疑問を問いかけた、しかし沢田からは運転に集中しろと告げられ、巻町は疑問が募るばかりであった、五分後車は昨日の爆発が起きた渋谷スクランブル交差点へと到着した。 「総理!昨日の爆発事件から12時間が経ちましたが容疑者は犯行声明を送りつけた事でテロ事件として国民の不安は高まっていますが政府はどういった対応していくのですかお答えください総理」内閣府の臨時国会終了後に榊原総理は入り口付近に集まる報道陣の中へと向かい取材に対応していた、「この度は日本代表の素晴らしい歓喜の瞬間から、悲劇的な事が起きてしまったことは大変遺憾であります」すると榊原はカメラの前で犯人に訴えるかのように目付きを変え口調が強く変化した、「政府は警察との連携を含め今回の事態に対処して行きたいと思います、決して私は辞職はせず国民の皆様に我々は卑劣な犯人には屈しない姿勢を見せたい思います」そう話すと榊原や各官僚らは報道陣のもとから去っていった、「お待ちください総理!総理!」追いかける報道陣を厳しくSPが抑えつけている、すぐに榊原は外で待つ車へと乗り込んでいった。現在9時30分。
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