世紀のLIVE

序章

11月20日、そこには渋谷スクランブル交差点に密集する若者達で騒いでいた、その日の夜はサッカー日本代表選手が決勝リーグを懸けた大一番となるワールドカップ最終予選を迎え、試合は7時からキックオフとなった、そのために渋谷のでかいビルに映し出された生中継の映像で応援しようとするサポーター達が集まったのだ、誰もが息をのむ試合展開にまるでスクランブル交差点がアリーナのような空気を醸し出している、試合は延長戦を迎え、そして最後のPK戦へと持ち越された、｢いけー！頼むぞー！｣代表選手の着るユニホームを着た大学生達は必死にモニター越しに声援を呼び掛けた、モニターには今か今かと選手がシュートを打つ準備をするようすが映っている、そして選手はボールを蹴った、
｢ゴーーーーール！｣見事PK戦を勝ち取り日本代表が勝利を飾った、渋谷に集まったサポーターや若者達は皆歓喜と興奮に包まれていた、｢とうとう厳しい戦いを制し、決勝リーグに進出だ！｣画面からもその歓喜は伝わってきている、渋谷はさらに騒がしくなり酒に酔って暴れだす男性や、道路に座り込み泣きじゃくる女性だったりと、それを予測していたかのように警察が駆けつける騒ぎになった、｢皆さま、足元に気をつけてお帰りください｣パトカーは騒ぎを沈めるために積極的に人々に言いかけた、スクランブル交差点での信号が赤になるまで密集した若者達で群がるなか一人黒い革のコートを着た男はひっそりと顔を見上げビルのモニターを見上げた、モニターには既にニュース番組が映し出されサッカーの試合をお送りしていた、｢いやー日本代表の素晴らしいゲームでした、いかがでしたか片岡さん？｣ ｢最後の素晴らしいPK戦を勝利したあの場面はとても感動的でした｣モニターを見ていた男はじっと見つめている、｢さぁ次のニュースです、榊総理大臣の新たな疑惑が浮上しました、｣すると番組は国会で野党に追求される場面が映し出された、
｢総理国民にこのままハッキリとしないままでいると議員辞職も考えなければいけないのではありませんか！｣ ｢私は何度も仰いますように不正を犯した事は一切無いという事であります｣総理がそう応えると野党からは大きな野次が降りかかってきた、すると映像はスタジオへと切り替わった、｢以前榊総理大臣は不正を否定しますが、調査は追求を続けるとのことです。｣モニターを見てるといつの間にか信号が青に切り替わっていることに気がついた、男は人混みの中スクランブル交差点を歩いていると突然道路の真ん中で立ち止まった、そしてポケットにいれていた携帯を取り出すと男はニヤリと不適な笑みを浮かべた、｢日本はどういう決断を下すのか、良い答えを期待する、さようなら、東京｣そう呟くと携帯の画面に映し出されたボタンのようなものを押した、男は携帯から眼を離し顔を上げた、次の瞬間先ほど見ていたモニターが映し出されるビルが突如爆発した。

近くにいた人々は一気にその爆風で吹っ飛ばされ、静止しようとしていた警察車両までも一気に人混みの所へと吹っ飛ばされた、そしてビルからの窓ガラスの破片が次々と降ってきた、爆発から２分後、人々は辺りを見上げるとビルに近くにいた人々は皆が爆発に巻き込まれ意識が重態に、なかには車両の下敷きになり亡くなる者まで現れた、偶然にも渋谷にいた会社員の桝田は一瞬何が起きたのか理解が出来なかった、すぐさま倒れている人に必死に呼び掛けるがパニックに陥っているのはわかっていた、すると突然、前から走ってくる女子高生に手を引かれそのまま爆発場所から離れていった｢どうしたんだ君は？｣疑問を投げ掛けるが少女は何も応えなかった。
渋谷は一瞬にして半分が粉々となってしまった。