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今日も私はあの場所へ向かった。40年も営業している、駄菓子屋さん。5,6畳の決して広いとは言えない店の奥に、いつもおばちゃんが居座っている。このおばちゃんが、40年間も駄菓子屋を続けてきた。
「おばちゃん、こんにちは」
「おお、今日も来たのかい、いつもありがとうね」
「いえいえ、、、じゃあ、今日も“あれ”、お願い」
「あいよ」
「あんた、これ好きねえ」
「ええ、小学生の時からのお気に入りですから、」
私はおばちゃんに20円手渡して、店内の長椅子に座った。ここにはレジがなく、おばちゃんが”お駄賃”を計算する。
そして、店内には沢山の子供たちの写真が貼られていて、写っているのは、幼稚園生から大学生まで様々。
私が写真を眺めていると、おばちゃんが立ち上がり、私の方に近寄ってきた。
「そうそう、この写真が、あんただよ」
そこには、私が小学5年生の時の写真が貼られていた。幼い頃からここにきては、駄菓子を買っていたのを覚えている。
この写真は、あの子だ、懐かしいなぁ___、こんな子も居たなぁ___、と懐かしんでいると、おばちゃんがまた口を開いた。
「うちはねぇ、あんたみたいな常連さんがおったけぇ、続けられとんよ。こんなに沢山の写真を見ると元気になるねぇ」
「ええ、そうですね」
思わず、おばちゃんと目が合い、微笑んだ。おばちゃんの微笑む顔は、今も昔も変わらない。私が初めてここに来た時から、暗い顔を見せたことのない、おばちゃん。笑顔という言葉がぴったりな、おばちゃん。
「では、私、そろそろ帰りますね。今日もありがとうございました」
「どうも、ありがとうね。いつでも寄ってきていいよ。朝の8時から、夕方の4時までは開いとるけん」
「じゃ、またね、おばちゃん」
「またね」
そう言って、駄菓子屋を後にした。
私の心の拠り所、駄菓子屋。
今日も、あの小さなお店で、おばちゃんは私を待っています。
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