博士と不思議な道具たち

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「防水? ああさっき追加したから、そいつはもう【カワウソ鍵キー】だよ」  とまあ、たまにバージョンアップして名前が変わることもある。 「結局猫は踏めないのすぎる」 「カワウソ」 「わかってます!」  もう、と助手くんは両手を腰に当ててカワウソ黒鍵キーとにらめっこ。どちらも勝てそうになく、同時に顔を逸らした。 「シャープかつフラットに行こうゼ」  カワウソ黒鍵キーの台詞は無視して、「ところで博士」と助手くんは話を始める。 「今回はなんですか、探索機の試用で犯人逮捕と事件解決? まさかあんなモノを探し当てるなんて」 「シャープかつフラットに行こうゼ」 「モノではない、子どもさ」 「そういうのアゲアシトリって言うんですよ」 「シャープかつフラットに行こうゼ」 「揚げ足ではない、人をもの扱いしてはいけないということさ」  ふうん、と助手くんは納得した。  そう、老人があの男に渡した腕時計は博士が作った探索機だった。誘拐された子どもを探すため、親と犯人の両方に取り付ける必要があったのだ。子どもは袋詰めにされていたが幸い気を失っていただけで、殺害される前に救出することができた。 「シャープかつフラットに行こうゼ!」 「わかったから静かにしてよ!」 「ぴえ……」 「うっそ黒鍵キー泣いてるんだけど」 「防水加工したからね」 「やかましいわー、で、博士はさっきから何してるんですか」  話を進めながらも博士は何やら修理の手を止めなかった。 「【ダンシングインザドリーム】の修理だよ」
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