1人が本棚に入れています
本棚に追加
「防水? ああさっき追加したから、そいつはもう【カワウソ黒鍵キー】だよ」
とまあ、たまにバージョンアップして名前が変わることもある。
「結局猫は踏めないのかわいそすぎる」
「カワウソ」
「わかってます!」
もう、と助手くんは両手を腰に当ててカワウソ黒鍵キーとにらめっこ。どちらも勝てそうになく、同時に顔を逸らした。
「シャープかつフラットに行こうゼ」
カワウソ黒鍵キーの台詞は無視して、「ところで博士」と助手くんは話を始める。
「今回はなんですか、探索機の試用で犯人逮捕と事件解決? まさかあんなモノを探し当てるなんて」
「シャープかつフラットに行こうゼ」
「モノではない、子どもさ」
「そういうのアゲアシトリって言うんですよ」
「シャープかつフラットに行こうゼ」
「揚げ足ではない、人をもの扱いしてはいけないということさ」
ふうん、と助手くんは納得した。
そう、老人があの男に渡した腕時計は博士が作った探索機だった。誘拐された子どもを探すため、親と犯人の両方に取り付ける必要があったのだ。子どもは袋詰めにされていたが幸い気を失っていただけで、殺害される前に救出することができた。
「シャープかつフラットに行こうゼ!」
「わかったから静かにしてよ!」
「ぴえ……」
「うっそ黒鍵キー泣いてるんだけど」
「防水加工したからね」
「やかましいわー、で、博士はさっきから何してるんですか」
話を進めながらも博士は何やら修理の手を止めなかった。
「【ダンシングインザドリーム】の修理だよ」
最初のコメントを投稿しよう!