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ああ、と助手くんは思い出す。
「最終的にガンガン床に打ち付けて犯人が壊したっていう。探索機なのにネーミングがカワウソより謎なんですけど」
「知らんのかい?」
「え、意味があるんですか?」
「ううん、年代設定ミス……」
これがジェネレーションギャップか、と博士は天を仰ぎ、また作業に戻った。
「そういえば、発見するまで思ったより時間かかりましたね」
「見つけたい人が探すことを諦めた瞬間に反応するからの」
「え、じゃあ一つ間違えたら――」
「とまあそれは一人用の場合、今回は犯人に目星つけてたからね。他人のものを隠した犯人が身につけた場合は、犯人の身体の異常値から割り出すのさ」
ダンシングインザドリームには二種類ある。
一人用、つまり単純にモノをなくしたときに使えるタイプ。もうひとつは二人用、隠した犯人が決まっている場合に使うタイプだという。
――コンコン。
「ごめんください」
誰だろう、と助手くんが玄関の穴を覗く。
「あ、さっきの刑事さんだ」
暗号キーを押してロックを解除する。どうぞ、とマイクで話すと三枚あるドアがひゅんひゅんひゅんと一気に開いた。
「いやはや、度々失礼」
「どうしたんですか?」
つい数十分前、作業に集中したいからと仲の良い署長(と言っても本当は偉い警察庁長官で、仲良くなった時代に署長だったから二人はずっと署長と呼んでいるだけ)の誘いを断った博士のためにわざわざ賞状を届けてくれた刑事さんだ。
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